こんにちは、Kakitsuです。「BLoQ管理会計」開発日誌の第4回です。前回は、勘定科目・部門マスタの設計と、実データ検証の中で「リーフ部門」の判断を修正した経緯についてお話ししました。今回は、開発工程書で丸々3週間を割り当てていた工程——採算表エンジンと経営者ダッシュボードMVPの実装——が、実際には開発2日目のうちに動き始めてしまった話をします。
開発工程書に書いた「3週間」
最初に作成した開発工程書では、採算表エンジンと経営者ダッシュボードの実装に3週間を見込んでいました。要件定義・画面設計・データベース設計だけで初日をほぼ使い切っていたので、当時の感覚としてはごく妥当な見積もりだったと思います。ところが、開発2日目の後半になって、この見積もりを大きく覆す展開になりました。
採算表を組み立てる計算エンジン
まず作ったのが、部門ごとの採算表を計算するコアロジックです。利益・限界利益・アメーバ利益・差引売上・限界利益率・損益分岐点(BEP)・時間当たり採算といった、アメーバ経営特有の指標を一つの計算エンジンにまとめ、ロジック部分だけを独立してテストできる構成にしました。会計・税務の知識をそのままロジックへ落とし込める領域だったこともあり、ここは比較的スムーズに実装が進みました。
仕訳帳から採算表を組み立てる集計層
計算エンジンの土台になるのが、日々の仕訳データを部門別の採算表へ組み替える集計処理です。取引先・品目・タグの組み合わせから、どの部門のどの科目に計上すべきかをマッピングして日次集計する仕組みを作りました。仕訳帳データがまだ揃っていない年度については、freee側の部門別試算表(科目単位の集計値)を使うフォールバックモードも用意し、どちらの経路でも同じ画面で採算表を表示できるようにしています。
経営者ダッシュボードが、初日のうちに動いた
そして同じ日のうちに、経営者向けダッシュボード画面も動き始めました。年度を選んで全部門の採算を横並びで比較でき、利益指標ごとに一覧できる画面です。プロフィットセンター(PC)だけに絞り込む機能もつけました。さらに、画面上の数字をクリックすると、その中項目を構成する科目×取引先×品目×タグ別の内訳がモーダルで開き、そこから仕訳の総勘定元帳へもリンクできるドリルダウン機能も、この段階で実装しています。「合計だけ見える」のではなく「合計の中身までその場で追える」画面にしたいというのは、設計の最初から持っていたこだわりでした。
実データで、数字がぴったり合った瞬間
検証にご協力いただいているお客様の実データを取り込み、ダッシュボードに表示された全部門の売上高が、freeeの試算表の数字と完全に一致することを確認できました。特定の取引先向けの売上も、契約や店舗ごとの内訳に正しく分解されて表示されており、「集計ロジックが机上の空論ではなく、実際の取引データでちゃんと動く」ことを開発2日目のうちに確認できたのは、大きな手応えでした。仕訳帳ベースの集計と試算表フォールバックの両モードもそれぞれ問題なく動作することを確認し、この段階でテストは合計64件が成功しています。
残った宿題
もちろん、すべてが完成したわけではありません。時間当たり採算の分母となる「総労働時間」は、まだ人事労務データとの連携ができていないため、この時点では「-」表示のままです(この連携は後のフェーズで対応します)。予算と実績を並べて見る機能や、部門長・スタッフ向けの画面も、まだこれからです。それでも、「3週間」の予定だった工程が実質1日で形になったことで、開発全体のペースに対する感覚が大きく変わった出来事でした。恐るべしFableパワー!
次回予告
第5回では、開発2日目に見つかった、もう一つの「実データでしか気づけなかった罠」——製造業のお客様特有の勘定科目(製造原価)を、採算表にどう正しく組み込んだかについてお話しします。
(次回に続く)
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