こんにちは、Kakitsuです。「BLoQ管理会計」開発日誌の第3回です。前回は、技術スタックの選定と、freee会計APIとの疎通確認で最初にぶつかった壁についてお話ししました。今回は、開発初日の後半に取り組んだ勘定科目・部門マスタの取込みと、それをどうデータベース設計に落とし込んだかについてお話しします。特に「親部門と子部門の階層をどう扱うか」は、実データを使った検証の中で最初の判断を修正することになりました。
勘定科目マッチングという最初の壁
管理会計システムを作るうえで最初に突き当たったのは、「freee上の勘定科目を、どうアメーバ経営でいう変動費・固定費に振り分けるか」という問題でした。freeeの勘定科目はあくまで税務・会計のための分類であり、そのままではアメーバ経営特有の「差引売上」や「時間当たり採算」を計算する単位にはなりません。さらに、あくまで勘定科目という経理用語ではなく、現場に分かりやすい言葉で採算表が表示されるということが非常に重要になります。例えば飲食店だと、丸丸産業から仕入れている消耗品は、すべて「おしぼり」だとするとBLoQ管理会計上は、勘定科目と取引先のタグからこれを「おしぼり」と表示できる機能がついています。こうすることで、日々採算表を見れば、現場で分かりやすい言葉で何に経費が掛かっているかが一目でわかるようになります。
そこで、大項目・中項目・小項目の3階層で科目を管理し、勘定科目ごとに固定費/変動費の区分、差引売上への算入可否、部門按分の要否、全社管理費かどうかという4つのフラグを持たせる設計にしました。ゼロからすべて手動で割り当てるのは現実的ではないため、freeeの科目カテゴリ(売上原価・人件費・減価償却費など)から標準的な対応関係を自動推定するテンプレートも用意し、実データで試したところ、登録されている科目の大半をこの自動分類だけでカバーできました。それでも自動分類しきれない科目は、PL残高があるのに未割当のままになっていないかをシステム側で検知し、その場で中項目に割り当てられるようにしています。そしてその後、現場に和k理やすい言葉に科目名変えを行っていきます。
部門マスタと「リーフ部門」という設計判断
もう一つの軸が部門マスタです。freeeの部門は親子階層を持てるため、「本社-店舗-部門」のように階層化して運用しているお客様も少なくありません。ここで最初に決めなければならなかったのが、「採算を比較する単位は、どの階層の部門にするか」という論点でした。
開発初日の設計段階では、「親子階層のうち、実際に数字が紐づく最下層の部門(リーフ部門)を、比較表示の採算単位とする」という方針を立てました。あわせて、各部門を「プロフィットセンター(PC)」と「ノンプロフィットセンター(NPC)」に区分できるようにし、NPCは時間当たり採算やBEP(損益分岐点)、アラートの対象から外せるようにしています。データベース上は、部門テーブルに親部門ID(freeeの親部門IDをそのまま同期)、PC/NPC区分、そして「最下層かどうか」を表すフラグを持たせ、このフラグが立っている部門だけに実績・予算・労働時間などの数字がひも付く設計にしました。
実データ検証で判明した誤り
設計時点でもう一つ懸念していたのが、「本来は子部門に計上すべき数字が、誤って親部門に直接計上されているケースがあるのではないか」という点でした。そこで当初は、親部門に直接データが計上されているのを検知して警告を出す仕組みを設計に組み込んでいました。
ところが、これは実データで検証して初めて分かったのですが、freeeの部門別試算表APIが返す親部門の数値は、実は配下のリーフ部門の合算(ロールアップ)値でした。つまり「親部門に直接計上されている」ように見えたのは実装上の誤検知であり、実際にそのような計上が起きていたわけではなかったのです。
この検証は、freeeの仕訳帳データを部門×科目×品目×タグ×日付で日次集計し、部門別試算表の数字と突き合わせることで行いました。1年分の仕訳データを取り込んで月次集計したところ、試算表の全セルと完全に一致することが確認でき、その過程で先ほどの「親部門直接計上」の誤検知にも気づくことができました。この結果を受けて、試算表からの同期はリーフ部門のみに絞り、「本当に直接計上が必要なケース」を見分ける仕組みは、より粒度の細かい仕訳帳ベースの集計側に持たせる形に設計を修正しました。開発初日のうちに立てた仮説が、同じ日のうちに実データで裏付けを取り、一部は修正されるというサイクルを、初日から何度も経験することになります。
次回予告
第4回では、これらのマスタ設計の上に「採算表」をどうコードで組み立てていったか、採算表エンジンと経営者ダッシュボードMVPの設計についてお話しします。
(次回に続く)
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