こんにちは、Kakitsuです。「BLoQ管理会計」開発日誌の第16回です。今回は時間を少し巻き戻して、得点板に「目指す線」を引いたときの話をします。目標値の設定、その達成率を知らせるお知らせ、そして画面の上に出す要約の三つです。最後に、そのお知らせをあとからメールではなく画面に出す形へ作り直した経緯も書きます。
何を目標にするか
部門ごとに登録できるようにしたのは、売上高、時間当たり採算、限界利益率、損益分岐点の達成率、この四つです。最初は率と単価の三つに絞るつもりでしたが、金額の目標がないと現場の実感と合わないので、売上高を加えました。
粒度は部門×年度で、月ごとの内訳は持ちません。率や単価は期間を問わず比べられますが、金額を月に割り振ると、季節変動のある業種では按分そのものが実態とずれるからです。期間を絞って見たときの達成率は「年度目標に対する進捗率」だと画面に書きました。按分で嘘をつくより、何を見ているのかを書くほうが安全だと考えています。
空欄は空欄のまま扱います。未設定を0とみなすと、設定していない部門がすべて未達になってしまう。目標を掲げるのは経営の仕事なので、設定できるのは管理者と経営者だけにしました。

掲げただけでは、届かなかった
ここまで作って、足りないことに気づきました。目標を登録できるようにしただけでは、ブロック長は目標を知らないまま予算を組めてしまいます。役員も、目標に届かない予算をそのまま承認できてしまう。食い違いに気づくのは実績が出たあとで、そのときにはもう手遅れです。
そこで、予算を作る場所に目標を持ち込みました。予算入力画面に「目標比」の行を出し、入力中の予算から計算した年間の指標を目標で割って、未達は赤、達成は緑で表示します。数字を打ち変えると、その場で追随します。予算管理の一覧には部門ごとの目標比のバッジを出し、承認する側が俯瞰できるようにしました。

そして提出のとき、目標に届いていなければ不足を示して確認します。ただし、提出は止めません。ここは迷ったところですが、止めてしまうと、通すために数字を作る方向に力が働きます。目標は、人を追い詰めるためのものではありません。
目標を決めるなら、大枠予算は要らない
この流れを整理していたとき、「目標を役員が設定するなら、役員が大枠予算を作る段階は要らないのでは」というご指摘をいただきました。言われてみればそのとおりで、目標設定と大枠予算は、同じ意思決定を二度やっていたことになります。
四段階だった予算づくりを、二段階に減らしました。役員が目標を決め、ブロック長が予算を作り、提出し、役員が承認して締め切る。機能を足した回に、機能を一つ減らした格好です。
鳴らす線をどこに引くか
達成率のお知らせは、90%未満を未達としました。100%で鳴らすと、月々のぶれで常時点灯してしまい、誰も見なくなります。一割の余裕を持たせて、本当に届いていない部門だけを挙げる。損益分岐点に届いていないことだけは、目標の設定と関係なく知らせます。
件数は部門数で数えます。一つの部門で複数の指標が未達でも1件。指標の数で数えると、実態より多く見えてしまうからです。宛先も分けました。経営者と役員には全社分を一通、ブロック長には自分の部門の分だけ。ブロック長に他部門の数字を見せる必要はありません。
画面の上には、四つの指標のカードを出しました。目標比と、前月からの変化を添えます。前月との比較は、単月同士ではなく、前月末時点の累計と比べています。単月で比べると季節変動でぶれるからです。比べられないときは、0ではなく「-」と出します。動いていないのか、比べられないのかが分からなくなるためです。全社の合計では、率や単価は合算できません。分母が部門ごとに違うからです。そこは数値ではなく「目標未達 何部門」と出すことにしました。

そして、メールをやめた
後日談があります。前回書いた、当初予算からの大きなずれを知らせる仕組みを入れたとき、この月次の達成率メールと役割が重なりました。似たようなメールが二通届くことになる。
そこで、達成率のメール送信はやめました。判定そのものは残し、ダッシュボードの上に赤いバナーとして出す形に変えています。知らせる必要がなくなったのではなく、知らせ方を変えただけです。メールは、本当に手を止めてほしいときのために取っておく。足した機能を引っ込めるのは気が進まない作業でしたが、通知は増やすほど読まれなくなります。
検証で、お客様の目標値を消してしまった
最後に、この回でいちばん反省している話を書きます。目標と予算の連動を実データで確かめたとき、確認用に作った目標を片付けるつもりで、その会社・その年度の目標値をまとめて消す処理を書きました。結果、直前にお客様が入力されていた四部門分の目標値を巻き込んで消してしまいました。操作の履歴に残っていたので気づけましたが、値そのものは戻せず、入力し直していただくことになりました。
以来、実データに対する検証は、存在しない会計年度を箱庭にして行うか、自分で作った行をIDで名指しして消すか、どちらかにすると決めています。予算の検証ではその原則を守っていたのに、目標値の確認でだけ範囲指定の削除を書いてしまった。緩むのは、いつも慣れたころです。
残った宿題
時間当たり採算の目標は、勤怠を取り込んで従業員の部門割当まで済んでいないと達成率が出ません。使える状態にするには、その前段の準備が要ります。
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次回予告
第17回では、総合テストと本番稼働——連載の締めくくりとして、これからの話をします。
(次回に続く)
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